ぶちノート

数学とか物理とか好き。ゆっくりやっています。

群について

定義

 G :単位元、逆元があって、結合法則が成り立ち、演算について閉じている集合。

対称群  S_n :異なる  n 個のものの並べ方。大きさ  |S_n|=n!

部分群  H H \subseteq G

正規部分群  N N \triangleleft G

置換群  P :置換群の集合が対称群  S_n

交代群  A_n :偶置換の群。大きさ  |A_n|=n!/2

巡回群  C_n :ただ  1 つの元から作られる群。

 2 面体群  D_n :正  n 角形の合同変換の群。大きさ  |D_n|=2n

 n 面体群  P(n) :正  n 面体の合同変換の群。 n=4,6,8,12,20 のみ存在する。

多面体群と対称群

多面体  D_3  P(4)  P(6)  P(8)  P(12)  P(20)
同型  S_3  A_4  S_4  S_4  A_5  A_5
大きさ  6  12  24  24  60  60

多面体と対称群

 3 角形 \iff3 次の対称群

 4 面体 \iff 4 次の交代群

 6 面体 \iff 4 次の対称群
 8 面体 \iff 4 次の対称群

 12 面体 \iff 5 次の交代群
 20 面体 \iff 5 次の交代群

ガロア理論がむずかしい

数学ガールのガロア理論をとりあえず読み切った。
でも正直、半分も分かった気がしない。
パラパラと眺めなおしてみたものの、やっぱり取っ掛かりがつかめない。
そのうちにガロア理論は「群論」と「体論」の組み合わせということに気づいた。
つまりどちらもある程度理解していれば、それを土台にしてガロア理論も理解できるのではないだろうか。
ってそもそも本文中に「ガロア理論は群論と体論の架け橋」みたいな記述もあった。

というように考えて、まずは「群論」から取り掛かってみようと思った。
「群論」を学ぶだけでもいいけれど、もしガロア理論まで行きたいのであれば、

  1. 群論(Group theory)
  2. 体論(Field theory)
  3. ガロア理論(Galois theory)

という順で学びたいと思う。
とはいえ「ガロア理論はすぐには理解できなさそうだ」とか「群論やって体論やれば理解できるかもしれない」という展望を数学ガールには与えてもらった。

参考動画:What is Abstract Algebra?

オイラーの公式(指数法則)

1. 複素数と変換

複素数  x+iy=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) は、以下の  2 通りに解釈できる。

  • 平面を実軸方向へ  x、虚軸方向へ  y だけ平行移動させる数
  • 原点を中心として平面を  r 倍に伸縮させ、 \theta だけ回転させる数

2. 指数法則

関数  f について、指数法則  f(X+Y)=f(X)\times(Y) が成り立つとする。

  • 関数  f の入力が複素数  x+iy のとき、 f(x+iy)=f(x) \times f(iy) となる。
  •  x は実数であるから  f(x) も実数となる。すなわち原点を中心として平面を「 f(x) 倍に伸縮させる数」である。
  •  f(x+iy) は一般に複素数となるため、平面上の任意の点となる。すなわち原点を中心として平面を「伸縮・回転させる数」である。

以上のことから、 f(iy) は原点を中心として平面を「 f(iy) だけ回転させる数」であることが分かる。

3. まとめ

問題:指数法則が成り立つ関数  f について、  f(x+iy) はどのような数か。

  • 指数法則より、 f(x+iy)=f(x) \times f(iy) である。
  •  f(x+iy) は、原点を中心として平面を「伸縮・回転させる数」である。
  •  f(x) は、原点を中心として平面を「 f(x) 倍に伸縮させる数」である。

以上  3 点より、 f(iy) は原点を中心として平面を「 f(iy) だけ回転させる数」である。

答え: f(x+iy) は、原点を中心として平面を「 f(x) 倍に伸縮させ、 f(iy) だけ回転させる数」である。

4. 群同型

たし算( +)とかけ算( \times)を同じ種類の演算( \circ)と考えると、指数関数は「演算を保存する」と考えられる。

 f(X \circ Y)=f(X) \circ f(Y)

または

 X \circ Y = Z のとき、 f(X) \circ f(Y) = f(Z)

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平行移動、伸縮と回転

仮定と結論

仮定

  • 指数法則  f(x+y)=f(x)f(y) を満たす
  •  x が実数ならば、 f(x) は実数
  • 実数のかけ算は伸縮
  • 平行移動  x+iy伸縮回転  r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})

結論

  •  f(iy)回転

説明

複素数の指数関数  f(x+iy) を考える。
指数法則が成り立つことより  f(x+iy)=f(x)f(iy) となる。

 f(x) について

 x が実数なので、 f(x) は実数となる。
よって  f(x) は、複素平面を伸縮させる。

 x+iy について

複素数  x+iy は、複素平面を平行移動させる。
また  r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) とも考えられるので、複素平面を伸縮・回転させる。

 f(x+iy) について

平行移動伸縮・回転とも考えられるので、関数の値も同じになる。

 f(iy) について

 f(x+iy)伸縮回転 f(iy)伸縮と考えられるので、 f(iy)回転と考えられる。

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複素の指数関数

1. 実数と伸縮

実数の指数関数は  f(x+y)=f(x)f(y) の関係を満たしているのが特徴だ。
言葉でいうと「足してから入力しても、入力してから掛けても同じ」というような感じだ。
また、図形的には、実数の指数関数は数直線を「伸縮させる」。
たとえば、 2 を入力したら数直線を伸ばし、 0 を入力したら何もせず、 -3 を入力したら縮める。
つまりポイントは以下になる。

  • 足して入力  = 入力して掛ける
  • 数直線を伸縮させる

2. 複素数と伸縮

入力を実数から複素数へ拡張してみよう。
ここでも  f(x+y)=f(x)f(y) の関係を満たすようにする。
複素数は  x+iy と表せるので、 f(x+iy)=f(x)f(iy) となる。
でも複素数とはいえ、 x y は実数だ。
そのため「入力して掛ける」の  f(x) のところは、実数の指数関数になっている。
ということは、やはり数直線を「伸縮させる」。
ただし実数のときと違って、複素数のときは複素平面が相手だ。
そこで、複素平面を「伸縮させる」ことにする。

では「入力して掛ける」の  f(iy) のところはどうだろう。
これは複素数へ拡張したために、出てきたものだ。

3. 複素数と平行移動

ところで指数関数は複素平面を「伸縮させる」と書いたけれど、入力する複素数は何をするのだろう。
入力する複素数が実数のときは複素平面を実軸方向に「平行移動させ」、純虚数のときは虚軸方向に「平行移動させる」。
そして一般の複素数のときは任意の方向に「平行移動させる」。

一方、同じ複素数による「平行移動」でも、「伸縮」と「回転」に分解することもできる。
たとえば  \sqrt{3}+1i は、実軸へ  +\sqrt{3}、虚軸へ  +1の「平行移動」と考えられるし、 2 の「伸縮」と  \theta=30 ^\circ の「回転」と考えることもできる。
つまり同じ複素数は「平行移動」とも「伸縮&回転」とも考えられるのだ。

4. 複素数と回転

以上のことをふまえて、再度  f(x)f(iy) を見てみる。
さっき述べたように  f(x) は複素平面を「伸縮させる」のだった。
では  f(iy) は複素平面をどうするのだろう。
そう、複素平面を「回転させる」のだ。
このとき「伸縮」はもうしない。
つまり、点  (1,0) を単位円上に動かす純粋な回転だ。 まとめると以下になる。

  • 足して入力  = 入力して掛ける
  •  f(x) は複素平面を「伸縮」させ、 f(iy) は「回転」させる。

 f(x+iy)=f(x)f(iy) を言葉でいうと「平行移動してから入力しても、伸縮させて回転させても同じ」となる。

5. まとめ

・・・と、ここまでたどり着いたものはいいものの、これはどういうことなのだろう。
それは  e ^{x+iy} を考えてみると分かる。
指数関数なので  e ^{x+iy}=e ^x e^{iy} となり、 e ^x は計算できて「伸縮」を表す。
でも  e ^{iy} はどうがんばっても意味が分からない。
ここでさっき考えたことが役に立つ。
 e ^{iy} は「回転」を表すのだった。

あと残る疑問は  e ^{iy} は一体、複素平面を「どれだけ」回転させるのかということになる。

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オイラーの等式

オイラーの等式とは

オイラーの公式

   e ^{\theta i}=\cos{\theta}+i\sin{\theta}

が成り立つ。特に  x=\pi のとき、オイラーの等式

   e ^{\pi i }=-1

が成り立つ。

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オイラーの公式の数学的な証明

指数関数  e ^{ix} をべき級数展開すると

   \displaystyle e ^{ix}=1+ix+\frac{(ix) ^2}{2!}+\frac{(ix) ^3}{3!}+\frac{(ix) ^4}{4!}+\frac{(ix) ^5}{5!}+\frac{(ix) ^6}{6!}+\frac{(ix) ^7}{7!}+\cdots

ここで  i ^2=-1 より

   \displaystyle e ^{ix}=1+ix-\frac{x ^2}{2!}-i\frac{x ^3}{3!}+\frac{x ^4}{4!}+i\frac{x ^5}{5!}-\frac{x ^6}{6!}-i\frac{x ^7}{7!}+\cdots

さらに、実部と虚部に分けると

   \displaystyle e ^{ix}=\left( 1-\frac{x ^2}{2!}+\frac{x ^4}{4!}-\frac{x ^6}{6!}+\cdots \right)+i\left( \frac{x ^3}{3!}-\frac{x ^5}{5!}+\frac{x ^7}{7!}-\cdots \right)

実部が  \cos{x} のべき級数展開、虚部が  \sin{x} のべき級数展開になっていることより

   \displaystyle e ^{ix}=\cos{x}+i\sin{x}

 \pi とは

角(弧度法)の基本単位。
円の直径に対する円周の比。

 e とは

変化率の基本単位。
微分に対して不変となる関数(  e ^x )。

 1 とは

平行移動(実軸方向)の基本単位。

 i とは

平行移動(虚軸方向)の基本単位。
 \displaystyle \frac{1}{4} 回転。  1 と合わせて任意の回転。

 -1 とは

 \displaystyle \frac{1}{2} 回転。
反転

 e ^{i\pi} とは

 (0,\pi) を、点  (-1,0) に写す変換

 \cos{x}+i\sin{x} とは

原点を中心とした  x \ [rad] の回転

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数学の認知科学

1. 基本的な計算能力の身体化

  1. 生まれながらの計算能力
  2. 身体化された心の認知科学
  3. 身体化された四則演算を基礎付ける4つのメタファー
  4. 四則演算の法則の生まれたところ

2. 代数、論理、集合

  1. 「本質」と代数
  2. ブールのメタファー
  3. 集合と超集合

3. 無限の身体化

  1. 無限の基本メタファー
  2. 実数と極限
  3. 超限数
  4. 無限小

4. 禁じられた空間と運動

  1. 点と連続体
  2. 数の連続性
  3. 空間も運動もない微積分

5. 数理哲学への影響

  1. 「身体化された数学」の理論
  2. 「身体化された数学」の哲学

6. e^πi+1=0

  1. 解析幾何学と三角法
  2.  e とは何か
  3.  i とは何か
  4.  e ^{πi}+1=0